東京大学インドカレーサークルインカレ

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精神物理学からみるインドカレー ~スパイス5倍で辛さ5倍ではない?~(前編)

こちらの記事はUT-INCURRY Advent Calendar 2017 - Adventarの5日目の記事として書かれました。

アドベントカレンダー5日目は一般メンバーのあどみすが担当します。幹部以外で初の記事です。やったね!

今日の記事は今までとは一転、インドカレー(以下インカレと略す)と学問を結びつけたものです。前後編と分かれて、前編は必要となる理論のお話です!
高校数学レベルの知識を前提としていますが、なるべくわかりやすくなるように努めます!

背景

サブタイトルのように、インカレの辛さを増そうとしたときがきっかけです。
お店の中には、1辛、2辛、3辛…と数字で辛さを表しているところがあります。どうやら辛くするスパイスの量がそのまま2倍、3倍となっているようです。
辛くしようとして、3辛から5辛にあげたときは、同じ2段階でも1辛から3辛にあげたときほど辛さが増さなかったという経験はないでしょうか?
実はこれ、精神物理学的観点から説明ができるのです!

精神物理学とは?

精神物理学は外的な刺激と内的な感覚の対応関係を測定し、また定量的な計測をしようとする学問である。 (Wikipediaより)

精神物理学とは、簡単に言うと「人間の感覚を数値化しよう!」というような学問です。 この学問が考えている刺激と感覚を結びつける基本的な法則に、 『ヴェーバー-フェヒナーの法則』 というものが存在します。

ヴェーバー-フェヒナーの法則

ある重さのおもりを持っているとします。そこにおもりを追加して「重くなった」と気付ける最小の重さは、最初に持っていたおもりの重さに比例しているという法則をヴェーバーは見つけました。
Rを刺激の強度、\Delta Rを刺激の識別できる下限として、上の法則を式にすると以下のようになります。

\large \frac{\Delta R}{R}= Const.

Const.とは、一定の値であるということです。
例えば、Aさんは10kgのおもりを持っていて、そこに100gのおもりを追加して初めて「さらに重くなった」と気付きました。
次にAさんに20kgのおもりを持ってもらって、そこに同じく100gのおもりを追加しても重くなったことに気づきません。200gのおもりを追加して初めて「さらに重くなった」と気付きます。
これがヴェーバーの法則です。

ヴェーバーの法則を近似して積分したところ、人間の感覚は刺激の量の対数に比例するということが求められました。これがフェヒナーの法則です。

Rを刺激の強度、Eを感覚量、Cをある定数として、フェヒナーの法則を式とグラフにすると以下のようになります。

\large E = ClogR

f:id:ut-incurry:20171205220413p:plain グラフ:フェヒナーの法則の概要

これらをまとめてヴェーバー-フェヒナーの法則といいます。ただし、刺激が小さすぎるまたは大きすぎるときは使えません。

グラフからわかるように、刺激が大きくなると少し刺激が増えただけでは感覚は変化しません。
これがヴェーバー-フェヒナーの法則の特徴であり、人間の感覚の特徴でもあるのです!この特徴が大きく関わってきます。


次回は、果たしてほんとにこの法則が正しいのかということと、この法則をインカレの辛さに適用して、辛さを評価していきたいと思います。お楽しみに!

あどみす